Webサイトの読み込み速度とパフォーマンスを監視、分析、テスト

Webサイトの速度テストを実行する場合、Webページのパフォーマンスを測定するのに使用できる一般的なテクノロジーが2つあります。

1. 1つは、リアル ユーザー監視で、一般にRUMと略されます。これは、世界中にある実際のデスクトップやモバイルのブラウザーとWeb接続から、Webページの読み込みテスト データを収集することにより、Webページとアプリケーションのパフォーマンスを可視化します。実際のエンドユーザー データを使用してWebページのパフォーマンスを測定する場合、どのユース ケースまたはパフォーマンス パラメータが最も重要で価値があるかを事前に定義する必要はありません。
   
   RUMツールが有効化されると、訪問した特定のページに関係なく、監視対象のWebサイトとの実際のユーザー インタラクションからパフォーマンス データを継続的に収集します。エンドユーザーがどこにアクセスしても、サイトにどの程度関与しても、実行可能なパフォーマンス データが収集されます。RUMは、ターゲットを絞ったアクションも可能にし、パフォーマンスの障害となる要因の影響を受けないため、大規模なWebサイトや非常に複雑なWebアプリケーションでページの読み込み速度テストを実行する際には理想的なオプションであり、より深い洞察とWebサイトの速度分析を実現できます。
2. Webサイトのパフォーマンス テストの2番目のオプションは、エンドユーザーが通常たどる一般的なサイト パスに沿ったブラウザー トラフィックをシミュレーションする合成監視です。合成テストは、サイト管理者が実際のサイトやアプリケーションのトラフィックを必要とすることなく、重要なWebサイトのプロパティ、機能、エンドユーザー インターフェイスが意図したとおりに動作しているかを確認する面で役立ちます。高度に制御されたテストが実現可能なため、合成監視の再現性も高く、通常は信頼性の高い情報が提供されます。これにより、ページの読み込み速度テストの実施、サイト要素の最適パフォーマンスの確認、Webサイトの速度分析のためのデータの収集に役立ちますが、実際のエンドユーザーのトラフィックやサイトのエクスペリエンスに関する本質的なデータを収集しないため、制限があります。また、アドホック Webサイト パフォーマンス テストを実施するには優れたオプションであり、サイト全体またはアプリケーション エクスペリエンスについて構造的な理解を深め、パフォーマンス問題を検出するのに役立ちます。

Webページのサイズとサイトのトラフィック量は、これら2つの監視テクノロジーの有用性に影響を与える可能性があります。ただし、RUMと合成監視はそれぞれ独自の利点と洞察を提供するため、2つのテクノロジーを組み合わせて使用することは、WebサイトのパフォーマンステストとWebサイトの速度分析を実行するのに理想的です。RUMを使用してコア サイトとアプリケーションのトラフィックを監視すると、一般的なエンドユーザーの経路を確立できます。これは、合成ページの読み込み速度テストで補完できるため、管理者は特定の問題を素早く特定してトラブルシューティングし、アプリケーションまたはサイトのパフォーマンスをより包括的に理解できます。

Webサイトの速度テストの結果の精度と関連性を最大限に活用するには、次のような鍵となる速度テストの要素があり、管理者はそれに注意を払う必要があります。

• 実行されたテストの数：サイトやアプリケーションのパフォーマンスをしっかりと理解するには、1つのWebページで読み込みテストを行うだけでは不十分です。サイト トラフィックは非常に動的なメトリックであるため、Webサイトの速度テストの結果は、テストの実行時間によっては、大きく異なってくる可能性があります。トラフィックは自然に変動するので、サイトのパフォーマンスをより正確に把握するには、さまざまな時間にページの読み込み速度テストを実行することが大切です。
• テストの場所：サイトまたはアプリケーションにアクセスする地理的な場所が、読み込み速度とパフォーマンスに影響を与えます。したがって、一般的なサイトまたはアプリケーションのトラフィックがローカル、リージョナル、グローバルのいずれであるかを知ることは、Webサイトの速度テストを実行するうえで最適な場所を決定するための鍵となります。
• テスト対象：Webサイトのパフォーマンス テストは、さまざまなサイトの投稿とページを含めることで、より正確に全体的なパフォーマンス ベースラインを確立する必要があります。これは、パフォーマンスが低い要素を浮き彫りにするのに活用できます。

多くのWebサイトのパフォーマンス テスト ツールは、サイトの速度やパフォーマンスを向上させるために、追加のメトリックに関するデータも収集します。コンテンツのサイズ、タイプ、コンテンツ タイプ別リクエストは、ブラウザーが読み込みに最も多くのリソースを必要とするページ要素を明らかにするうえで役立ちます。たとえば、大きな画像を使用すると、サイトやページの読み込み時間が長くなる可能性があります。これが、顧客やエンドユーザーがページを去る件数の増加と直接関係していることは、しっかりと裏付けられています。もう1つの役立つメトリックは、ドメイン別のリクエストで、外部のスクリプトとサービスが、サイトのパフォーマンスにどのように影響しているかを判断するために活用できます。Webサイト速度テスト ソリューションの中には、個々のリクエストを分析して、遅延を引き起こしている特定の要素を特定できるものもあります。

Webサイトのパフォーマンス テストの結果を向上させるため、読み込み速度を改善する一般的な方法は次のとおりです。

• TTFBの最小化：サイト所有者の多くは、フロントエンドのパフォーマンス問題に主に焦点を当てる傾向がありますが、最初のバイトまでの時間（TTFB）が、サーバー側の本来のメトリックとなります。ブラウザーがサイトを読み込むには、サイトのWebサーバーにHTTP要求を送信する必要があります。その後、WebサーバーはDomain Name System（DNS）ルックアップを実行し、データを処理して、要求に応答する必要があります。TTFBに関連する問題のほとんどは、動的なコンテンツ作成、不適切なWebサーバー設定、ネットワーク帯域幅、サイト トラフィックの問題にまでさかのぼることができます。Googleは、サーバー側の応答時間を200ミリ秒未満に保つことを推奨しています。
• 画像の最適化：画像は、すぐにWebページの重さのかなりを占めてしまう可能性があり、特に大きな画像は読み込み時間の増加の原因になります。Web投稿、ロゴ ファイル、その他のグラフィック要素などの多くの画像は、品質を落とし過ぎたり、エンドユーザー エクスペリエンスに悪影響を与えたりすることなく、サイズを縮小できます。
• HTTPリクエストの最小化：Webサーバーへの最初のHTTPリクエストの後、ブラウザーは着信HTMLを調べ、画像やスクリプトなどの要素に対するリクエストを追加で送信します。要素が多いほどHTTPリクエストが多くなり、サイトの読み込みが遅くなります。外部スタイル シート、CSSスプライト、画像マップを使用すると、着信HTTPリクエストの数を合理化し、サーバーの応答時間を改善できます。
• コンテンツ配信ネットワーク（CDN）の操作：CDNは、サイト コンテンツをより高速に提供するよう設計された分散サーバー ネットワークです。CDNは、ネットワーク全体でコンテンツを複製することにより、すべてのリクエストを1つの集中型サーバーに集中させるのではなく、Webブラウザーから最も近くにあるデータのバージョンにアクセスできるようにします。これにより、サーバーのボトルネックを防ぎ、ネットワーク リソースの使用率を向上させることができます。地理的に複数のロケーションから、ページの読み込み速度テストを実行することにも利点があります。CDNがサイトの読み込み時間を改善する方法や程度を明らかにするのに役立つからです。
• コンテンツのキャッシング：キャッシングとは、サイト ページの一時的なストレージとその後の配信を指します。読み込み時間を改善し、帯域幅の使用を最小限に抑えます。サイトに変更が加えられていない限り、以前にキャッシュされたバージョンは、Webサーバーの負荷を増やすことなく、より高速にクライアント ブラウザーに配信できます。
• クラウドベースのDNSインフラストラクチャへの切り替え：効率的なDNSは、インターネットを介して運営されている企業や組織にとって重要な要素です。コンピューティング環境と顧客基盤が分散するにつれて、クラウドベースのテクノロジーを採用すると、多くの場合、パフォーマンスと信頼性が向上します。これは、DNSにも当てはまります。Webサイトと全ブラウザーの間の相互作用は、一連のDNSクエリから始まり、DNSが失敗した場合、パフォーマンスの低い各クエリは、すべてのサイト コンテンツ、データ、アプリケーション パフォーマンスにカスケード効果をもたらします。ページが利用できなかったり、読み込みが非常に遅かったりすると、エンドユーザーがページを去る可能性は高くなり、収益とブランドの評判がさらに失われます。クラウドベースのDNSインフラストラクチャは、企業のデータ センター、CDN、クラウド間でデジタル コンテンツとリソースを分散することにより、さらなる回復性とスケーラビリティを提供します。CDNをマネージドDNSソリューションと組み合わせて使用すると、サイトのパフォーマンスや信頼性、顧客満足度、エンドユーザーの定着率がさらに向上する可能性があります。CDNの分散性は、複数のエンドポイント間でトラフィックの負荷を分散するのに役立ちますが、多くのCDNプロバイダーは、CDNに障害や停止が発生した場合でも、サイト コンテンツを引き続き利用できる自動フェイル オーバー機能を提供しています。

Webサイトの速度テストは、パフォーマンスの最適化が必要なサイト ページやコンテンツを特定してトラブルシューティングを行うのに役立つため、必要な方法です。読み込みが遅いサイトやパフォーマンスの低いサイトは、システム内の不便さや非効率性の指標以上のものです。読み込み時間が長くなると、企業の収益に直接影響を与える可能性があります。

Eコマースサイトは、特に定期的なページ読み込み速度テストとパフォーマンスの最適化の恩恵を受けることができます。Webサーバーがクライアント ブラウザにコンテンツを配信する速度が速いほど、売り上げを伸ばすことができます。

エンドユーザーや顧客は通常、サイトの読み込み時間が、Webサイト パフォーマンス テストが実際に示している結果よりも遅いと感じているようです。したがって、ブランドは、トラフィックや顧客転換率の低下を防ぐため、Webサイト速度テストを活用して、読み込み速度をできるだけ上げることを優先する必要があります。サイトの読み込みが遅いと、顧客がブランドに対してどのようなイメージを持つかなど、金銭面以外にも、本質的に同じほど大切な分野で、ビジネスに悪影響が出る可能性もあります。Webサイトのユーザー エクスペリエンスが悪いと、顧客ロイヤリティが低下し、最終的には閲覧時のエンゲージメントが低下する可能性があります。Webサイトのパフォーマンスおよび速度を最適化するうえで、ページ読み込み速度テストの実施は、必要かつ基本となります。

Webサイト パフォーマンス テストは、サイトまたはアプリケーションの安定性を判断するためにも重要です。パフォーマンス問題やクラッシュが発生する前に、サイトとWebサーバーが処理できる最大トラフィック量を知ることが重要です。これにより、管理者は、新しいソフトウェアやハードウェアに投資したり、パフォーマンスを向上させるために必要な更新を展開したりするなど、いつ行動すべきかをより理解できます。

よりエンゲージメントの高い顧客やエンドユーザーを獲得できることに加えて、パフォーマンスを最適化したWebサイトには、ブランドや企業にとって、バックエンドでの利点もあります。トラフィックが速いほど、必要な帯域幅の消費量が少なくなります。これにより、企業はサーバーの負荷を軽減し、Webホスティングに関連するコストを削減できます。これには、管理者がトラフィック量の季節的な増加や、突然の増加に合わせてサイト容量を拡張できるという付加的な利点があります。

SolarWinds Web Performance Monitor （WPM）は、Webページとサイト コンテンツのテスト、分析、最適化をサポートする便利なツール スイートを提供しています。WPMのWebベース アプリケーション パフォーマンス監視機能は、サードパーティやSaaSアプリケーションを含め、読み込み時間およびユーザー エクスペリエンスに影響を与えるWebサービスの問題についての実用的な洞察を、素早く提供するよう構築されています。

WPMは、Webページの読み込み時間に関連したパフォーマンス メトリックを収集して、詳細なTCPウォーターフォール チャートを作成し、全体的な読み込み時間が最も長くなっているサイト要素とコンテンツを具体的に強調表示します。これにより、サイトの速度低下を引き起こすHTML、JavaScript、CSSの要素をより簡単に監視しておくことができます。また、WPMの通知ツールとアラート ツールを使用すると、パフォーマンスの低いWebトランザクション、または未完了のままのWebトランザクションがツールにより検出された場合に、最新情報を簡単に受け取ることができます。

WPMのWebサイト パフォーマンス テスト機能を使用すると、ネットワーク ファイアウォール内やAmazonインスタンスなど、複数の場所からのトラフィックやWebインタラクションを簡単に監視して、サイト パフォーマンスの変化をより深く理解できます。WPMはネットワーク ファイアウォールの背後でインストールを行うため、ツールの監視機能を安全に使用し、ヘルプ デスク、サプライ チェーン、顧客関係管理（CRM）ソリューションなど、内部Webアプリケーションのパフォーマンスを追跡することが可能になります。

WPMを他のSolarWinds製品とシームレスに統合すると、Webアプリなどの重要なインフラストラクチャ パフォーマンスをより包括的に可視化できるため、素早くドリル ダウンして根本原因を特定し、またWebトランザクションやアプリケーション パフォーマンス メトリックなどのわかりやすい可視性を実現できます。